母乳のおはなし

【母乳量を増やすには】

妊娠中に発達した乳腺では、分娩後胎盤が剥がれると母乳分泌促進のホルモン(プロクチン)により、母乳分泌が始まります。それに加え、乳頭を赤ちゃんに吸われることで益々分泌促進が図られます。
分娩後、早ければ早いほど、そして、吸わせる回数が多ければ多いほど、母乳は早時期に多く分泌されるようになります。
母乳は出るから吸わせるのではなく、出ないうちから“出す為”に吸わせるのです
ほとんどのママ達は、分娩直後の授乳をお手伝いする時、「出てますか?」と聞いてきます。私はその度に「出ないから、早く出す為に吸わせるのよ」と説明しています。
その後も、赤ちゃんがよく泣いている時

「おっぱいを吸わせましょう。」と言うと、

「今、吸わせたばかりです」と答えるママが圧倒的に多です。

新生児期の赤ちゃんに、完全に母乳だけで満足出る様になるのは、3 ヶ月かかるとされています。胃袋がまだ小さい時期です。泣かせる時間を短くし、吸わせる回数を多くするほど母乳分泌促進になります。エネルギー消費を最小限にし、赤ちゃんに何度も何度も諦めず吸わせましょう。授乳だけでは不足していそうな時には、ミルクを足すこともママの休息時間を作る良いやり方です。ママの体力が回復すると母乳量もアップしやすいです。頑張りすぎず適度に休息することも母乳量アップには必要なことです。

【母乳量のコントロール】

大きい乳房の方が出ると思いがちですが、乳房の大きさだけでは分泌量はわかりません。
人間の身体も動物同様に、双子には二人分、ちゃんと出る様になっているのです。
ただし、赤ちゃんが一人でしたら、母乳分泌は一人分におさえましょう。

大昔、母乳不足の母親たちが、もらい乳をした話を聞いた事があるでしょうか?
出るからと言って、搾乳して捨てたり、他の赤ちゃんにあげたりすることは、脳は「そんなに必要な母乳なんだ」と思い込み、ますます出そうとします。過度に乳頭・乳房を刺激することが母乳分泌過剰に繋がるのです。(中には母乳分泌ホルモンが過剰分泌される方もいらっしゃいますが)

出過ぎの母乳も、やりかたしだいでは母乳量をコントロールできることもあります。必要以上に出る時は、食事の全体量を減らしましょう。全体のカロリーを押さえ水分を沢山とりましょう。食べ過ぎない事。刺激し過ぎない事で母乳量をコントロールしましょう。

母乳が足りないかな?                           
と思っている方は食事量を増やし、あれこれ悩まず、体を休める時間を上手く作り、自分を責めず授乳できるといいですね。

母乳はホルモンの影響で出る出ないが決まります。全身の血行促進と心身ともに穏やかな状態である方が、母乳が出るようホルモンが分泌されます。環境を整える事も大事になりますね。

【乳房の一番多いトラブル】

1.乳腺炎
2.乳栓(乳管のつまり)
3.乳頭損傷

このトラブルに共通する原因は、ママの抱き方を直す事や、乳首を深く吸わせることによって改善できます。

痛みを我慢して浅めに長時間吸わせていたり、飲み癖が原因でいつも同じ所の母乳が残ってしまっていたりしませんか?

これがトラブルの種です。

早めに解決しましょう。

①乳房が赤くなっている。

②乳房に硬く痛みがある。

③熱がでる。(風邪症状がない熱)

などの症状がある時には、乳腺炎と思われます。できるだけ早く対処しましょう。授乳するだけで症状の改善が見られない場合は助産師に相談しましょう。

乳腺炎はママの体力が落ちている時、忙しい時、授乳時間を適時にしなかったりした時におこりやすいようです。水分摂取が少なくなるのもその要因の一つになると考えられております。

たった一回母乳をあげるタイミングを外し、何時間も母乳を張ったままにしただけでうっ滞性乳腺炎になります。

早く対処しないと、感染性乳腺炎へとすすむこともあります。乳首に傷があればなおさら細菌感染を助長しやすいです。これは発熱、発赤、痛みの強い症状です。症状の程度により医療介入(処方)が必要なことが多くなります。

さらにその後、適切な対処をしないと助産師の手の負えない化膿性乳腺炎にることもあります。これは医師の手術が必要となる乳腺炎です。

授乳の仕方、食事量・質、水分摂取、生活スタイルなどを整え、乳房トラブルを回避・予防しましょう。

身近にすぐ相談できる助産院を見つけておくのもお勧めです。